387.磁石装着サトウキビジュースの放置 3 2022年3月26日
サトウキビの種茎に磁石を装着し栽培を開始したのは2020年3月11日である。
それから2年が経過した。
磁石数は出芽や生育、そしてサトウキビの収量に影響を及ぼすことを下記に記載した。
第295節 サトウキビの出芽に及ぼす磁気の影響
第297節 サトウキビの生育に及ぼす磁気の影響
第323節 磁石装着サトウキビの収穫
さらに収穫したサトウキビのジュースを室内に放置したところ、磁石数によって放置ジュースで生育する
微生物に差があることも下記に記載した。
第357節 磁石装着サトウキビジュースの放置1
第358節 磁石装着サトウキビジュースの放置2
本節は第358節の続きであるが、さらに興味深い現象を見つけた。
磁石数が4,8,12個、すなわち4の倍数のとき放置液は暗色が強くなるのである。
これは単なる偶然かもしれないが、私としては何らかの因果関係があることを期待したい。
ただし、その理由はまったくわからない。
写真1に放置時の外観変化を示した。
写真2に写真1から切り取った放置時の色変化を示した。
写真2からRGBを求め、次式により白色度を計算した。
白色度=(R+G+B)/(255*3) (%)
図1に白色度の変化を示した。
放置の経過とともに白色度は低下したが、10月末ごろより上昇に転じた。
白色度は磁石数4,8,12のときの低下が大きく磁石数0,2,6,10のときは小さかった。
図2は357節、358節のデータを含めた濾液Brixの経過である。
いずれの磁石数でも放置時間とともにBrixは低下していくが、特に磁石数4,8,12のてかが大きかった。
図3は357節、358節のデータも含めた濾液のpHである。
磁石数0,2,3,6,10では放置時間とともにpHは低下したが、磁石数4,8.12のときは途中から上昇に転じた。
図4には放置終了日の濾液の紫外可視吸収スペクトルを示した。
図5には濾液の代表的なODを磁石数で比較して示した。
紫外部のOD(図5-1、図5-2)と可視部のOD(図5-3)はまったく様相が異なっていた。
可視部のODは磁石数が4,8,12のとき明らかに大きかった。
OD210nmとOD270nm(図6-1)およびOD210nmとOD340nm(図6-2)は正の相関が認められたのに対し、OD210nmとOD410nm(図6-3)には負の相関が認められた。
図8-1にOD210nmとBrixの関係を示した。
OD210nmが高いほどBrixも高いところから、Brixはカルボニル基をもった化合物、おそらくは有機酸が主体であると考えられる。
図8-2にOD410nmとBrixの関係を示した。
OD420nmが高いほどBrixは低い傾向にある。
写真3に最終放置液の濾過残渣の外観とその顕微鏡画像を示した。
磁石数0,2.6,10は細菌が主体であるのに対し磁石数4,8,12は糸状菌が主体であった。
この糸状菌は有機酸を資化し、そのためにpHが上昇すると考えられる。
またこの糸状菌は暗色色素を生成し、そのために放置ジュースも暗色化したと考えられる。
4の倍数の磁石装着数に何か意味があるのかどうかはわからない。
ただし、サトウキビ種茎への磁石装着がサトウキビの生育やジュースの成分に影響を与えることはまたがいないと言える。
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